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甲佐町が運営する「あゆみ学舎」の取り組み

少子化の影響を受け、多くの地域で学校の統廃合が進んでいます。そんな中、熊本県甲佐町(こうさまち)では地元の高校を守るために、町として公営塾「あゆみ学舎」の運営を始めました。今回は甲佐町役場の地域振興課長として働く荒田さんに、あゆみ学舎や甲佐町の教育環境についてお話を伺いました。

甲佐町:熊本県のほぼ中央、熊本市の南方約20kmに位置し、南北に清流「緑川」が流れる自然豊かな町です。緑豊かな山々、清らかな川の流れ、肥沃な大地など自然の恵みを十分に受け、農業を中心に文教の町として発展してきました。令和4年3月末現在、人口約10,300人、約4,400世帯が暮らしています。(甲佐町ホームページより)

生徒の夢実現をサポートする公営塾「あゆみ学舎」を発足

近年、深刻化している少子化の影響を受け、熊本県では高校の統廃合が進んでいます。甲佐町にある「甲佐高校」は町で唯一の高校ですので、地元から高校が失われてしまうという危機感を抱いていました。

町として検討委員会を立ち上げ、「どうにか支援して存続できないか」と協議を重ねました。その結果、甲佐高校への入学者数増加を目的に、同校の生徒が利用できる公営塾「あゆみ学舎」を発足することにしました。

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あゆみ学舎を簡単に表すと「生徒一人一人の夢の実現をサポートする塾」です。進学や就職、もっと言えば自分の興味のあることについて、生徒それぞれが追求できる環境を用意するために、町として高校の外での学びを支援しています。

学習面のサポートに加えて、就職を考えている生徒にはグループディスカッションの練習など、一人一人に合わせた取り組みを実施しています。甲佐高校では、卒業後の進路に就職を希望する生徒が一定数いるのですが、社会に出たときに役立つ力は高校の授業だけでは身につきませんので、あゆみ学舎でサポートしています。

そんなあゆみ学舎は公営塾ではありますが、町だけで運営しているわけではなく、甲佐高校の先生にもご協力いただいており、高校のカリキュラムの中で一緒に活動することもあります。毎月の定例会では、高学校と町とあゆみ学舎のスタッフを交えた話し合いの場を設けており、スムーズに生徒の支援ができるよう、地域として協力体制を構築しています。

興味を掘り下げることからキャリアを見つめる

生徒のやりたいことをサポートすると言っても、そもそもやりたいことが明確になっていることの方が珍しいので、まずは自分を知るために「自分が何をしたいのか」「どんなことに興味を持っているのか」を掘り下げることから始めています。

掘り下げるうちに目指したい方向が少しずつ浮かんでくるので、その目標を達成するために必要な学習方法や、どんな進路を進むと良いかなどを、生徒と一緒に考えていきます。

とはいえ、生徒の頭の中だけで将来やりたいことを見つけるのは大変なので、社会人の方や企業の方をお呼びして「社会に出るとこんな仕事があるよ」ということをお話しいただく機会を設けています。昨年から対話型のキャリア教育に力を入れておりまして、高学校と連携し、総合の時間を使ってキャリア教育の授業を実施しています。現在は、キャリアカウンセラーの方とZoomをつなぎ、対話を通じて自己理解を深める取り組みを進めています。

生徒の話を聞いて「こんな進路がピッタリだと思うよ!」と伝えることは簡単ですが、生徒自身が考えを整理した上で進路を選択できる状態でなければ、本人にとって納得できる結果にはなりません。そのために、さまざまな体験や対話を通じて、やりたいことに気づけるきっかけづくりに注力しています。

買い付けから販売まで、生徒たちで駄菓子屋を運営

あゆみ学舎では社会活動の体験を目的に、駄菓子屋さんを運営しています。生徒が自分たちで買い付けして、販売まで行います。どれくらい仕入れるのか、どうすれば買ってもらえるのかなど、試行錯誤を繰り返します。

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そうすると、生徒たちがどんどん成長していくんです。最初は何も分からない状態で失敗ばかりですが、次第に「どう声をかけたらいいかな」「立ち寄ってもらえるかな」と、生徒たちが自主的に反省会を開くようになって。何度も失敗を繰り返す中で、社会で役立つ力をしっかりと身につけているんです。

座学の授業ではどうしても限界がありますし、体験から得られる学びには敵いません。おとなしい生徒だと「大丈夫かな?」と心配することもありましたが、生徒同士でのコミュニケーションを取りながら頑張っており、成長している様子を見られると嬉しくなりますね。

設立から5年、やりたいことをもとに進路を選ぶ生徒が増えている

2017年の設立から5年経って感じることは、「生徒たちの表情が明るくなった」ということです。もともと不登校だった生徒もいましたが、今では友達の輪にもすっかり馴染んでコミュニケーションを取っており、学校全体の雰囲気が良くなりました。

今取り組んでいる対話型のキャリア教育では、「人と話す」「人の話を聞く」ことを学んでいるので、今後も生徒たちのコミュニケーションに影響を与えて、成長していくのかなと期待しています。

進路面では、あゆみ学舎での支援を通じて公務員に興味を持った生徒が、実際に甲佐町役場に入って働く人も出てました。生徒が地元で働くことを希望して、その目標を実現したということは、あゆみ学舎にとっても大きな成果です。

進学面では、もともと甲佐高校には大学へ進学する生徒がほとんどいませんでしたが、学習面のサポートの甲斐もあり、大学へ進む生徒も少しずつ増えています。

自分のやりたいこと、興味があることを見つけて、そこに向かって進路を選択できる生徒が増えたことは、非常に嬉しく感じますね。

生徒の夢を実現することが、甲佐町の将来にプラスになる

あゆみ学舎の設立によって、生徒が自主的に進路を決めたり、実際に地元で働く人材になったりと一定の成果は出ていますが、まだまだ課題はたくさんあります。

例えば、今は甲佐高校に通っている全ての生徒があゆみ学舎を利用しているわけではなく、あくまで希望者のみが利用している形です。中には入塾生徒数が少ない学年もあるので、多くの生徒が利用したくなるように、あゆみ学舎の活動をうまくPRする必要性を感じています。

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また、あゆみ学舎で学んだ生徒たちには、将来地元で活躍して欲しいという想いもあるので、企業との連携を強化する試みも検討しています。企業や仕事内容の紹介や、社会で求められている人物像のレクチャーなど、あゆみ学舎と地元企業が連携することで、進路選択の幅も広がると考えています。

とはいえ、あゆみ学舎で一番大切なのは、生徒ひとりひとりの夢を実現するためにサポートすることです。あゆみ学舎があるから甲佐高校に進学してくれた生徒もいるので、生徒の期待を裏切らないように、町としても生徒の夢をサポートし続けたいと考えています。その結果として、あゆみ学舎に興味を持ってくれる人が増え、甲佐高校に進学する人が増えると非常に嬉しいですね。